つぎに残りの4つ。
医学生は同期や先輩後輩の連携が強く、口コミ効果が高いため、効率的に商品を認知させることができ、広告費をあまり使わない。
また学生数を把握しているから、無駄に印刷し在庫を抱えたり返本に悩まされることが少ない。効率よく無駄のない出版が可能。
読者数が少なすぎず、多すぎない。
市場が大きすぎるとライバルの参入が激しくなり、少なすぎると採算がとれない。医学部は努力すれば1位になりやすい市場で、1位になれば効果が高い。
医学生は、医師に比べアルバイトとして社に来やすいだけでなく、基本的に優秀な方が多いため、「自分も勉強になる!」「後輩のためにもっと本をよくしよう!」とかなり熱心にがんばってくれる、よって「読者参加型」の方法が有効に機能し、内容が向上する。
「編集が主役」の作り方は、臨床向けの本では専門性が高すぎるため実行は困難だが、学生向けに「医学を分かりやすくする」レベルであれば、医師・医学生らのサポート次第で十分可能。
これが、『イヤーノート』成功の背景にある「医学生」という読者層の特徴なんです。
何より、「医学生向け」というジャンルだから、先に説明した「読者参加型の本づくり」、「編集が主役」の本づくりができた。
狙ってこうしたというより、自然にこうなってしまったといったほうが正しいと思います。