当時の医学書は、ほとんどが文字の墨一色の解説書ばかりだった。『病気がみえる』シリーズは、その頃はめずらしかった全ページフルカラーで挑んだ。豊富なビジュアル資料を目立たせるため、誌面レイアウトは極力、数見開き単位と、あくまでシンプルを心がけた。「そういえば、あの疾患のページのあの当たりに書いてあったな」と思い出せるレイアウトにすることを狙っていた。特にイラストなど、シリーズの根幹となるビジュアル面では労を惜しまなかった。専門的な知識を必要とするイラストとなってしまうため、社内でイラストを起こす方法を選んだ。社内だと、どんな内容のイラストが求められているのか、イラストレーター自身が勉強してよく理解したうえで仕上げてくる。そのため精度が上がり、やり取りの手間がなくなった分、他の作業に集中できた。わかりやすさを追求するため、誌面のレイアウトも社内で完全DTP化して作り込んでいった。統一感を出し、読者にも伝わりやすい誌面にした。全体のドクターチェックを受け、さらに精度を上げていった。編集者自身が正確に理解していないと、誌面にも深みが出ない。結局は読者には伝わりにくいものになってしまう。岡庭は的確にそこを押さえていた。余計なものを省き、重要なことのみを伝えるには、自分が理解していなければできない。簡略化は、編集者本人の理解度も試されることだったのだ。vol.1 消化器vol.2 循環器vol.3 内分泌vol.4 呼吸器vol.5 血液vol.6 免疫vol.9 婦人科vol.10 産科13新たなシリーズ『病気がみえる』の成長コメディカルへの応用、そしてわかりやすく、さらに多くの人へ伝わる本を。
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